このエントリーをはてなブックマークに追加  

二重盲検法(ダブルブラインド法)とは?

たとえば、「Aというサプリメントを2週間飲んでやせる」という実験をするとします。

 

そのときの実験デザインとして
「同一人物で、Aを飲む前の体重と、2週間飲んだあとの体重を比較する」
ではなく
「Aを飲むグループと、飲まないグループに分け(両グループの平均体重は同じにする)、2週間後の体重を比較する」
このような比較がベターだとお話ししました。
これは可能な限り、測定条件を一律にし、誤差・変動をなくすためです。

 

さらに良い方法は、
「Aを飲まないグループにもプラセボ(偽薬:何の効果も無い、見せかけだけの薬)を飲ませる」という方法です。
この方法で、「薬を飲んだから効果があるはずだ」という先入観をなくすことができます。

 

そして、さらに良いのは、
「体格の似た被験者グループに、ランダムにAか偽薬を与える。このとき被験者に、どちらがAでどちらが偽薬かを知らせない。さらに、実験を実施する人も、どちらの薬を与えたのか分からないようにする」
という方法です(当然、後で分かるようにしておかないといけませんが)。

 

このように、実験を受ける側も実施する側も、先入観のないようにする実験方法、これを「二重盲検法」といいます。

 

なぜこのような方法をとるのか?
片方のグループがやせ薬であるAを飲み、もう片方のグループには何も処置がないと知っていれば、Aを飲んだグループは
「自分たちは痩せるはずだ」
という予想を知ってしまうことになります。

 

そうすると、この2週間の間、おやつを控えたり、身体を動かしたり、健康的な生活を「送ってしまう」かも知れません。
これでは、たとえ痩せたとしても、「Aの効果」なのか「生活習慣を改善した効果」なのかわからなくなります。

 

このような弊害を最小限にするために、下図のような比較を行います。

もちろん、偽薬を飲んでいるグループの中にも「自分はAを飲んでいるのかもしれない」と信じ、無意識的に健康的な生活を送る人がいるかも知れません。
しかし、そのような人はAを飲んでいるグループにもいますし、両方を比較することで差し引くことができます。

 

また、1対1の個人間で比較するのではなく、グループで行うため、平均値を比較することになり、さらにそのような誤差・変動は小さなものになります。

 

テレビの場合、実際にこのような厳密な実験を行っていたとしても、放送時間や、視聴者へのインパクトの関係上、細かな実験条件の設定の説明を省略する場合もあるでしょう。
と、以前は好意的に解釈していたのですが、どうもそうではないのかも知れない、意図的に隠していることもあるのでは、と最近の新聞報道で感じます。

まとめ

実験条件を厳密に設定していない実験が多い。
出た結果が知らず知らずのうちに(故意に?)操作されている場合があると心得よ!



このエントリーをはてなブックマークに追加