健康的なダイエットのペースとは?
「三週間でマイナス○kg!!」
数字ほど魅力的なものはありません。
「将来やせる」という漠然とした希望ではなく、具体的にはっきりと、自分の願望がクッキリと映し出されているからです。
しかし、具体的にはっきりと数字に表れていれば、「その数字は本当か?」ということを高い信頼性で検証できます。
ここではその方法をお話します。
日常的に特に激しい運動をしていない成人の場合、一日に必要なカロリーは約2000から2500kcalと言われています(かなり大雑把ではありますが)。
この数字は体格によって異なりますが、スポーツをする人や、極端に大きい人や小さい人を除いて、大体この数字が当てはまります。
この数字は、摂取カロリーと消費カロリーの収支がゼロとなるエネルギー量です。
つまり、平均的な日本人は日常生活で1日に約2000から2500kcalを生活の中で消費するということになります。
運動しないで1週間で5キロやせられるのか?
さて、ここで1日に最大で何kgやせられるか計算してみましょう。
条件は次のとおりです。
- 今日一日、何も食べない。
- 特に運動はしない。
- 普通体型である。
この場合、体重がどのくらい減るのか、次のように計算できます。
摂取カロリー=0kcal
消費カロリー=2500kcal
よって
1日のカロリーの収支 = 0-2500 = −2500kcal
さて、体脂肪は1gあたり7kcalのカロリーを持っています(以前は9kcalとしていましたが、エネルギーとしての脂質と違い、体脂肪を構成する脂肪細胞の場合は脂質以外の成分もあるので7kcalと訂正しています)。
体重の減少が全て体脂肪によるものと仮定すると、
1日の体重の減少は2500÷7=約357g
1週間、運動しないでダイエットできる最大値は 357×7=2500g=2.5kg!!
となります。
とくに運動をしないで食事だけでダイエットしようとする場合、何も食べなかったとしても、これが限界です。
食べないことだけで、1週間で2.5kg以上のペースでダイエットできることはありえないです!
実際には1週間何も食べなければ死んでしまいますから、もう少し体重の減り幅は小さくなります。
「運動しないで1週間で5kgやせた!」などというキャッチコピーがあれば、大いに疑問に思っていただいて結構です(笑)
運動すればもっとやせられるか?
とはいうものの、運動すれば消費カロリーをもっと増やすことができます。
運動すればするほど、消費カロリーは増えます。
たとえば、ジョギングで1km走ると、だいたい体重と同じだけのkcalを消費します。
これは走るペースにかかわらずほぼ同じです。
ダラダラゆっくり走っても、ゼイゼイハアハア、目の前がクラクラになるくらい必死で走っても、意外にも消費カロリーは同じです。
まあ、速く走ったほうが、同じ時間で走れる距離が稼げるので、結果的に消費カロリーは大きくなると言えなくはないですが・・・
上に書いたように、摂取カロリーを減らすだけのダイエットでは、物理的に限界があります。
これ以上の効果を上げようと思ったら、運動で消費カロリーを増やすしかありません。
もっとも、何も食べないで生き続けることは不可能ですし、いくら体力があっても無限に運動し続けることも不可能ですから、ちょうど相殺するポイントが、1週間で2〜3kgというところかもしれませんね・・・
とはいっても、これは相当体力的に厳しいと思います。
あまり厳しい無理をせず続けられるダイエットのペースは、1週間で1kgといったところでしょう。
1週間に2.5kg以上ダイエットできた場合に考えられること。
「でも現実にもっと速いペースでダイエットできているよ!」という人もいるでしょう。
しかし、それは体脂肪が減ってダイエットできているのではありません。
一番に考えられるのは、体内の水分量の減少です。
次にグリコーゲンの減少です。
そして、筋肉の減少です。
絶食や、極端にカロリー摂取が少ないとき、人間は自分の筋肉を分解し、脳に栄養を送ります。
つまり、あまりに速いペースのダイエットは自らの健康と命を削る、危険極まりないダイエットとなるのです。
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